名作 雑談・雑記

【2ch名作スレ】漫画家を目指した俺が崩壊するまでを粛々と語る

投稿日:

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 16:36:46.24 ID:dXi1bY/U0
全ての漫画家志望に捧ぐ



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 16:37:42.68 ID:DBKRbCVV0
聞こうか

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 16:38:18.41 ID:JMdepAWT0
スペック

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 16:40:35.93 ID:dXi1bY/U0
スペック
男・フツメン
17歳まではごく普通の生活を送ってきた。
特に大それた短所も長所も無い感じ。
まさに「どこにでもいるようなごく普通の男」

人生の分岐点が訪れるのは17歳の夏。
進路希望表が配られた日のことだった。

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 16:43:52.49 ID:dXi1bY/U0
俺の高校は割と偏差値のいい高校だったが、
周囲の頭のよさに付いていくことに俺は限界を感じていた。
そこに俺の親友だった男に進路をどうするつもりかを相談してみた。

彼は「俺はミュージシャンになるぜ」と言った。

その迷い無き即答っぷりに…

俺はカッコイイと思った。

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 16:46:28.59 ID:dXi1bY/U0
「人生は一度きり、ならば好きなことを全力でやってみたい」
「退いて後悔するより、進んで後悔したい」
彼の口癖だったが、それまで何となくのレールに乗ってきた俺には新鮮な発想だった。

そして、俺も昔から大好きだった漫画家を真剣に目指すことを考え始めた。

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 16:53:11.98 ID:dXi1bY/U0
「漫画家になろうかな」と思ってから、成績が下がるまでの間は凄まじかった。
「漫画家に学歴は関係ない」というのが逃げの口実となり、
次の考査で一気に赤点連発。落第の一歩手前まで行きかけた。

高校をちゃんと卒業してから漫画を描き始めようと決めていたが、
あの成績では意味が無かったかも。

ともかく、高校は無事卒業できて、俺は漫画を見よう見真似で書き上げ、
S社に持ち込みに行った。

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 16:54:31.01 ID:ek6IWbu3O
このスレタイで1レスにまとめろっていうやつって我慢できない童貞だろ

まあ俺は童貞だけど

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 16:57:12.30 ID:0UT2Xa2a0
>>21
漫画家っていくつもの考えを決められた枚数の中におさめなきゃいけないだろ
それを目指してる>>1がこのくらいできて当然だろ

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 16:58:19.91 ID:RrqnQdGF0
漫画家目指してたからこそ引き伸ばすんだろ

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 16:59:42.22 ID:iekbMx1F0
>>25
こんなとこで語っちゃうくらいなんだからさったと突き抜けるほうが似合いだろ

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:00:36.13 ID:dXi1bY/U0
S社で俺を受け持ってくれた編集さんは今振り返ると結構な敏腕編集だったのかもしれない。
一流少年誌の看板漫画の当時担当編集だった。
俺の原稿をとても字を追ってるとは思えないくらいのスピードで読み、
「君の原稿を読む義理は読者には無い」というようなことを言った。

俺は自信があったということもあり、その言葉一つ、その編集の厳しいテンションに
一気になえてしまった。
「金の卵がやってきた!これは即デビュー、次は連載用のネームを持ってきて」
くらいの反応を期待していたのだ。
今思うと本当に有り得ないことだけど、当時は本気でそうなると信じていた。

しかし、その時点ではまだ士気は折れていなかった。

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:00:41.81 ID:Ih9g91rE0
なんか夢のないバクマンみたいだな

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:04:53.03 ID:dXi1bY/U0
S社の編集の腕なのかもしれないが、けなされはしたけど俺の作品のいい所も挙げてくれて、
いい具合にやる気を促されたような気がした。

その作品は月例賞にまわされることになった。

発表日まで何も手につかないくらいにそわそわしたが、
結局「あと一歩」にも引っかからず落選。
これにも相当なショックを受けた。
今まで自信満々だったが、ここで初めて自分は天才ではないと思い知らされた。

そして、そんな中なんとか第二作目をかき上げ、同じ編集さんに見てもらうことになった。

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:09:56.64 ID:P9bbnGj10
だらだらと上手くも無い薄い薄ーいカルピスをずっと飲まされる義務は無いんだけどな

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:10:22.02 ID:dXi1bY/U0
第二作目の持込のとき、その編集さんは1時間も遅刻した。
俺はいつ訪れるか分からない編集さんに失礼のないよう、
背筋を伸ばしたままで1時間待ち続けた。

一時間後訪れた編集さんは、大げさな仕草で事務的に謝罪し、
特に雑談も無く俺の原稿をめくり始めた。
相変わらずめくる速度が速い。

そして「これは賞に出しても絶対に引っかからないでしょう」と言った。
「え?」
「主人公にまったく感情移入できません。例えばここのvんヴぁいhbf」

そこから先はよく覚えていないが、とにかくこの作品は賞に出すことすら拒まれた。
2ヶ月掛けて仕上げた俺の第2作目は、預かってもらうことすら出来ずに
そのまま家へと持ち帰ることになったのだ。
帰りの電車の中、ものすごく惨めだった。

今のままではいけない!と思った。

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:11:31.57 ID:8c8RautX0
漫画うp

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:13:49.11 ID:8QSky4Th0
そうだ漫画うp

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:15:01.46 ID:lwU26ZWk0
俺なんか「これで賞とるのは厳しいよね・・・;^^」って苦笑いされて送り返されたぞ

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:15:02.47 ID:dXi1bY/U0
次の作品をかき上げるのには半年以上かかった。
バイトで生活費を稼ぐのも楽じゃなかったし、
原稿も今まで以上に丁寧に仕上げた。
ネットや本屋で技術を学び、透視法、ケズリなどの技術も織り込ませた。

すると明らかに今までと違う、かなりいい原稿に仕上がった。
ストーリーは「金色のガッシュ」の亜流みたいな感じになってしまったが、
少年誌らしい自分の漫画に満足だった。

意気揚々とS社にカムバック。同じ編集さんに見てもらうことになった。

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:15:51.89 ID:Kl0+G8cZP
この手の話リアルに30回くらいは聞いた。

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:17:37.44 ID:oscf8V+b0
なぜいつも大手にいくんだ
ダメなら別のところでデビューしようとは思わなかったのかい?

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:20:10.38 ID:dXi1bY/U0
反応は良かった。
今活躍している作家陣の新人時代と比べても遜色ないよ…とまで言ってくれた。
「これは賞に出しましょう」とも言ってくれた。

やった!!!!と思った。

それから賞の結果が出るまでの一ヶ月間、本当に幸せだった。
どれくらいの賞がもらえるのかがかなり気になった。
ちなみに漫画の賞はどこも大体同じような名前で、
大賞→準大賞→入選→準入選→佳作→奨励賞→期待賞→もう一歩
という格付け。
佳作をとれればデビューレベルなので、俺はその佳作に何とか食い込めないものかと願った。

しかし、結果は…もう一歩にすら名前がなかった。

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:22:09.57 ID:zn7hps0jP
なかなかおもしろい
このストーリーで漫画描けば

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:25:06.87 ID:dXi1bY/U0
信じられなかった。
何かの間違いかとも100回くらい思った。
しかし確認の電話を入れられるほどの度胸もないため、
放心のまま一週間くらいを過ごした。

ここで俺は初めて将来に対して焦り始めた。
こんなニートに近いフリーターのような生活をしていて、
ものにならなかったらどうなるんだろう?

当然、こんな場合は我武者羅に漫画を描き続けるしかない。
でもクオリティを落とすわけにはいかないし、
やる気が加速につながらないのも作画のじれったいところだ。

結局バイトに追われながら次の作品が仕上がったのは8ヶ月以上も経ってからだった。

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:26:04.45 ID:DBKRbCVV0
結局今は何歳なんだ?

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:26:38.64 ID:+IgPRP2d0
どうゆう展開になるかwktk

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:28:31.72 ID:dXi1bY/U0
しかし、俺はS社には連絡を入れられずにいた。
編集さんが俺のことを覚えているはずもないだろうし、
いよいよとなるとこの8ヶ月分の結晶が砕かれるのが怖くなったのだ。

そして俺は、別の出版社A社に持ち込むことにした。
S社に比べるとかなり格が落ちてしまうが、俺はとにかく結果が欲しかった。

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:30:43.92 ID:P9bbnGj10
S社は分かるけどA社って何処だろう

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:32:48.05 ID:VpFbCIP+0
>>61
秋田じゃなイカ?

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:31:29.55 ID:trVakFyt0
よく知らないけど、
こういうのって最初の会社がダメなら他の会社に持ち込むってのはダメなの?

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:32:03.35 ID:lwU26ZWk0
問題ない

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:32:06.75 ID:FylrE5zL0
普通なら一度に何社も掛け持ちするんだが

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:34:55.16 ID:dXi1bY/U0
A社の編集さんは恐ろしく優しかった。
志望雑誌のレベルを下げたこともあり、俺は初めてそこの賞で期待賞を獲った。

これは本当に嬉しかった。
受賞者は名前とカットが雑誌に掲載されるのだが、
その雑誌が発売される日は、近くのコンビニまで0時を回ってから、自分のカットをチェックしに行ったくらいだった。

その時点で俺の年齢は21歳。大学に行った奴らは3年生。
もうすぐ就職活動という時期。
順調に人生を歩き始める同級生。
この波にきちんと乗れれば、何とか彼らと肩を並べられるな…とか、
そういうことを思ってたのは今でも覚えている。

そして、それから先は一進一退の打ち合わせ。
ネーム段階から話し合いをして、賞に出すという時期が続いた。

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:35:22.88 ID:DLWKYcXN0
このストーリー漫画にしようぜ

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:35:48.36 ID:cyq3ndM20
秋田書店て地元の本とか出すもんだと思ってたけど有名なの?

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:41:27.09 ID:iekbMx1F0
>>76
ブラックジャックとかバカボンとか言えば分かりますか

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:44:55.92 ID:cyq3ndM20
>>81
さんくす。秋田の写真集みたいなの出したりなマイナーな所と思ってた

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:39:53.25 ID:dXi1bY/U0
その時期は落ち込むこともあったが、やはり基本は楽しかった。
そして1年以上打ち合わせを繰り返した後、俺は終に佳作を獲ることに成功する。

人生最高の時だったと思う。

その報告を電話で受けた時には、喜びと安堵で涙が出そうになった。
これで俺の漫画人生は開ける!
次はいよいよ連載ネームを切れるんだ!

年は既に23歳になり、同い年の奴らは働き始めていたが、
何とか俺も社会人としてやっていけそうだ…と思った。

ここからが地獄の始まりだった。

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:40:33.94 ID:lwU26ZWk0
そこまでいってもまだあるんだな

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:40:39.87 ID:DBKRbCVV0
すでに開始から6年か

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:45:09.11 ID:dXi1bY/U0
連載ネームを切る作業は楽しかった。
特に今まで書いたことのない第2話、第3話を描くのが新鮮だった。
読みきりではキャラ数を減らせと言われるのが普通だが、
連載ではそうはいかない。
逆に魅力的なキャラクターをどんどん出していかなければ、物語は広がっていかない。

今まで溜めた欲求を晴らすかのごとく、
暖めてきたネタの全てをネームに込めた。

この作業にも半年はかかったと思う。
担当編集を通り、次に編集長に見せられることになった。
編集長がokサインを出せば、晴れて俺も連載作家、漫画家になれる!!

しかし、結果はボツだった。

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:46:11.49 ID:X8EiP0Gq0
普通ここまでやったら今頃デビューできてるだろ
一体何があった

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:47:05.33 ID:9YcpkUtO0
1カットでもいいから、絵を見せてもらえないと
なんとも言えない

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:49:27.62 ID:dXi1bY/U0
「漫画家はデビューするまでは簡単。デビューしてからの方が遥かに難しい」
というのは、その時点で結構耳にしていた。
しかし俺自身自分の連載用ネームにはかなりの自信があった。
波に乗っていたということもあり、編集長も通すだろうと思ってた。
しかし結果は惨敗。
このネームを手直しするとかじゃなくて、完全に沈めて新しい何かを描けとの事だった。

「このストーリーを描くために漫画家を目指したんだ!」と思えるほどのネームが完全にボツになったショックも冷めぬうちに「新しい何か」
俺は頭を捻った。

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:52:02.03 ID:mWO9dcdmP
連載決まってから連載用のネーム作るのが普通なんじゃないの
少なくともエースで連載してる知り合いはそうだった

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:54:59.97 ID:dXi1bY/U0
新人にも旬というものがある。
近く行われた賞で授賞をした新人はやはり編集部からの注目度も高い。
記憶に新しいし、若さもある。
逆にくすぶり続けると、もうセンスが枯渇しているとか古いとか、
編集部内で飽きられてしまったりすることがあるそうだ。

俺が連載用ネームを切っている間にも、何人かの受賞者が生まれた。

俺は焦ってネームを切った。
しかし、俺が切れるネームは方向性が似ていて、そのネームは担当編集の時点でボツをくらった。

そんな中、俺と同じ時期に授賞した人の連載が決まった。

99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 17:56:29.43 ID:1ru5frz40
だから趣味を仕事にするとこうなるんだよ
仕事と趣味は別々にできるのにね
ラノベ作家とか副業の人が多いよ

103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:02:11.86 ID:h0KvXDXnP
絵はプロレベルでゲソ

104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:02:25.26 ID:dXi1bY/U0
俺は負けたと思った。
でも悔しさよりは焦りの方が勝っていたと思う。

この時点で24歳。

気分転換に久しぶりに同級生と飲みに行った。
同級生は社会人2年目で、仕事が段々と板についてきた。
高校も割とレベルの高い高校だったため、皆良いところに就職できたようだ。
ちょっと前まではひたすら皆で牛丼食べていたのに、
今や良さげな店で洋酒を飲むようになっていた。
未だに1500円の服を着ているのは俺だけだった。

「それで、お前の漫画いつ読ませてくれるの?」
と友人は言った。

何も言えなかった。

それから半年掛けて、2回目の連載用ネームを編集長に提出する。

107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:05:10.49 ID:dXi1bY/U0
一週間から二週間は待たされただろうか。
担当編集から電話がかかってきた。

「俺君!あのネームだけどね、編集長ok出したよ!!」

マジか!!!???

遂にきた!!!!!

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:10:42.22 ID:HTOnBB9i0
>>107
おお!

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:06:18.97 ID:+IgPRP2d0
ktkr!!

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:07:02.64 ID:BRFlKStPP
なんで連載決まったのかマジで理解できないラインナップだもんな

112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:08:43.65 ID:VfgGWoQK0
キャラクターデザイナーとかイラストレーター目をほのぼの目指してる俺は・・・・

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:11:52.51 ID:QfLO2S9PP
>>112
俺もイラストレーターになりたいけどエロ同人描いて人生終えそう
一応食ってはいけるし

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:09:38.49 ID:CCM/iZI8O
一方、ミュージシャンを目指した奴は

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:10:03.92 ID:dXi1bY/U0
やったぞ、遂に6年もの努力が実ったんだ。
もう25歳になるがおれはまだまだ若い!
これからだ!親父やお袋にも長いこと迷惑を掛けた。
親戚づきあいでも肩身の狭い思いをさせた。
友達に俺の授賞カットを自慢してくれた妹も、
これだけ俺がくすぶっていたんじゃ肩身が狭かったろうな。

これから挽回だ。

俺は仕事場はどこにするか、真剣に考え始め、
画材も大量に購入した。

そしてひたすら連載が決まるまでの間、先回りできそうな背景とかを書いたりして
連載開始日が伝えられるのを待った。

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:11:35.67 ID:P9bbnGj10
>>116
でもすごい嫌な予感がする

118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:11:10.12 ID:txgRcc580
ほうほう・・・

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:12:06.85 ID:1ru5frz40
なんというフラグ

122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:12:45.63 ID:XQSwNYJc0
ちょっとだけ質問いいか?

どうやって絵うまくなったんだ?
最初からある程度描けたのか?
厨房くらいのときから漫画は趣味で描いていたのか?

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:14:01.84 ID:dXi1bY/U0
しかし、待てど暮らせど担当編集からの連絡はなかった。
一度連絡したが「もうちょっと待って」と言われ、
それから2週間~3週間は連絡がなかった。
何度も連絡するのも気が引けるし、決まったら向こうから連絡がくるのは間違いないので
俺は「こういうものなのかな」と気長に待つことにした。

その間、お世話になった人に色々とメールとか電話をした。
皆「おめでとう」と言ってくれて、本当に心から喜んでくれた。

担当から連絡があったのは、更に2週間が経過した頃だった。

125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:15:04.09 ID:lwU26ZWk0
・・・・・・

126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:15:25.72 ID:VfgGWoQK0
・・・・・・

127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:15:31.32 ID:dXi1bY/U0
「待たせちゃって、ごめんね。あの話だけどね、やっぱりダメになった」

え?

頭が真っ白になった。

128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:15:41.15 ID:P9bbnGj10
どういう事だってばよ……

131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:16:12.15 ID:DLWKYcXN0
ぎゃあああああああああああああああああああああ

132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:16:27.35 ID:lwU26ZWk0
なん・・・だと・・・

133: ミーシャ姫 ◆VIP.PRNCS6 2010/09/11(土) 18:16:56.77 ID:R26B9oeQ0
  :::::::::: :.::. . . Λ_Λ . . . .: ::::::::
  :::::::: :.: . . /彡ミ゛ヽ;)ヽ、. : ………
  ::::::: :.: . . / :::/:: ヽ、ヽ、i . .:: :.: :::
   ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ヽ、_ノ

134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:17:13.90 ID:3mg097VK0
わろたwwwwwwwwwwwwwwwwwww

わろた・・・

138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:19:11.38 ID:dXi1bY/U0
担当編集はその後、怒涛の謝罪か言い訳か事情を説明するかと思いきや
何も言わずにこちらの出方を待っていた。
完全に開き直っているような雰囲気が伝わってきた。
俺がどんなに何を言っても無駄だということがその態度で分かった。

俺は震える手で携帯電話を何とか持ち、「分かりました」とだけ言った。

ここでヤケになってはいけないと必死に言い聞かせ
「もう少し届きませんでしたね。今度はもっといいネームを書きます」と
担当編集に伝えた。向こうの反応は覚えていない。

141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:20:07.43 ID:zn7hps0jP
>>138
立派だな…

139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:19:27.35 ID:VfgGWoQK0
>その間、お世話になった人に色々とメー>ルとか電話をした。
>皆「おめでとう」と言ってくれて、本当>に心から喜んでくれた。

どうすんだよ・・・・

143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:20:40.42 ID:tkDysTLv0
大手にこだわらず中堅出版社とかもいけばよかったんじゃね

147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:22:26.46 ID:Kl0+G8cZP
>>143
中堅は即戦力しか取らんよ

148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:23:03.65 ID:glr5OCP20
>>143
集英社→秋田だぜ?

159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:25:48.45 ID:VpFbCIP+0
>>148
秋田は間違いなく大手

146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:22:07.09 ID:ur5Sguic0
出版社っていつもこんな口約束で仕事してんのか?

149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:23:20.67 ID:dXi1bY/U0
「俺が漫画家になれないとは思わなかった」

…と一番最初に思った。
唐突に出てきた言葉だ。

そして次に両親のことが頭をよぎった。妹のことも。
何て言おう。友達には?
今まで大言壮語をかまし、平凡な人生なんてクソクラエとわめいていた俺は、
急にそのことが恥ずかしくなって、誰もいない部屋で丸くなった。

そして自分に残されたのは25歳・職歴なしという現実だけ。

完全に心が折れた。

150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:24:22.08 ID:6lGJr2tb0
デビューするだけなら小学館一択なんだがなあ

166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:26:54.47 ID:5eAYbzj5P
もう一息なんだろうから
一端休んでまた頑張ればいいと思うのは
当事者じゃないから言える事か

168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:27:13.62 ID:dXi1bY/U0
すっかり戦意を失った俺は今からでも普通の人生は送れないだろうかと模索した。
だが、高卒、職歴なしの25歳が働ける環境なんてブラックしかなかった。
そのブラックですら必死に頑張って雇ってくれるかどうか…というような状況だった。

いつか一発当てて夢の印税生活…。そんな夢は遂に夢として消えてしまうのか…?

そんな中一本の電話が届いた。

179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:30:27.49 ID:VfgGWoQK0
将来
絵の仕事以外が眼中に無い俺はどうすれば…

181: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:31:28.75 ID:P9bbnGj10
>>179
絵うp

180: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:30:46.15 ID:ieoh1/Ur0
一通り語り終わったら、なんか描いたのうpしてくれ

182: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:32:02.13 ID:dXi1bY/U0
それは俺が7年間の漫画家志望生活を送ってきた中で出来た、数少ない漫画家志望友達だった。

「俺君さ、アシスタントやってみない?」

この一本の電話が俺を更なる破滅への道へといざなって行くことを俺はまだ知らなかった。

第2章アシスタント編へ

※遅くてすみません、思いつくまま書いてます。チラ裏と思ってのんびり見てやってください

185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:33:14.62 ID:5eAYbzj5P
>>182
ゴクリ…

187: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:33:44.17 ID:XQSwNYJc0
>>182
質問コーナー設けてくれるんだよな?
なぁ?

183: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:32:22.25 ID:xN90f2Ls0
25歳で人生詰まなきゃいけない日本も終わってるけどな

192: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:34:40.71 ID:xA/A59Jf0
>>183
本当にな
自殺大国万歳

196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:35:34.31 ID:1ru5frz40
雇ってもらえないなら開業しろよ
無理にとは言わんが

200: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:36:15.67 ID:dXi1bY/U0
その電話を受けたときに思い出した。
そういえば担当編集伝で編集長が漏らしていた不満点に、
俺の絵がとにかく未熟だと。

ストーリーに関しては及第点かもしれないが絵が…とのことだった。

もし俺の人生にこの先漫画界に、夢に、しがみつけるチャンスがあるというのなら、
もはやここしかない。
年齢的にも次の作品が最後のチャンスだ。
今のどうにも動けない状況を打破しなくては。

「やります」

俺はそう答えた。

202: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:36:39.07 ID:txgRcc580
意外と美大出身の人は漫画描けると思っている人が多そう
現実はそんなもんじゃないのに・・・

204: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:37:29.14 ID:qxPumWSP0
>>202
本当にな、デッサンできても漫画はそう描けるもんじゃねえ

203: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:37:24.26 ID:8c8RautX0
漫画太郎でも連載してる

205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:38:10.14 ID:P9bbnGj10
>>203
多分ストーリーが及第点のはるか先を行ってるんだろう

209: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:41:34.02 ID:dXi1bY/U0
アシスタントについてはやりたがる人とやりたがらない人の二通りがいる。
理由は様々だが、俺は後者だった。
眠れないという話は有名だし、安いし、キツイ、緊張もするし、
漫画界での上下関係に巻き込まれるのが嫌でもあった。

別の理由に「アシスタントもせずに漫画家になった」という人への憧れもあったのかもしれない。

だが、そんな風に努力を放棄したツケは確実に遅過ぎるタイミングで回ってきた。
今がギリギリ取り戻せる最後のチャンス。

現場は2時間近くかかる場所にあった。
緊張しながら俺は先生の家のチャイムを押した。

211: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:43:59.47 ID:CAulSuFt0
文章の書き方やストーリーの進め方はそんなに悪くない
むしろスラスラと読みやすく切り方もうまい
単に絵が下手なんじゃないのと思いたい

220: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:48:05.27 ID:zn7hps0jP
>>211
俺も思う…話の進め方は人をワクワクさせるツボを押さえてる

開き直ってこういうテンションで漫画描けばおもしろい物描けるかもよ

226: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:50:03.81 ID:68j0bMqC0
>>211
確かに、文だけだがストーリーの進め方は上手いと思う

215: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:46:32.60 ID:68j0bMqC0
アシスタントって普通は大変なものなのか
俺絵の経験もないし才能もないのにコネでアシスタントやったことあるけど
結構まったりした雰囲気だったぞ

217: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:47:15.57 ID:w5KlQV8I0
>>215
先生によるとしかいいようがないな

223: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:48:36.18 ID:P9bbnGj10
>>215
場所によるみたい

216: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:46:37.08 ID:AyMs3tGfO
漫画家て歳 関係無く見えるんだが 違うのか

219: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:48:02.81 ID:w5KlQV8I0
>>216
雑誌によってはある

222: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:48:26.04 ID:dXi1bY/U0
「や~どうもどうも」
T先生の風貌はかなりごつくて、漫画を書いている人とは無縁そうなビジュアルだった。
(※アルファベットは適当です)

先生の家には4人のアシスタントさんがいて、

Aさん・34歳・男・ヒゲが顔一周している。小太り。
Bさん・26歳・女・メガネで大人しそうに見えるけどすごく明るい
Cさん・26歳・男・痩せ型で有名大学出のインテリ
Dさん・33歳・男・でかくて茶髪。絵がすごい上手い

俺は5人目のレギュラーになった。

225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:49:58.68 ID:GejPMKOD0
これは昼ドラ風の展開になる。

232: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:54:11.57 ID:NDFkBd7z0
漫画家目指して崩壊するまでを漫画にしろよ!

233: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:54:44.54 ID:dXi1bY/U0
先生が明るいせいか、現場は健康的でのびのびとした雰囲気だった。

現場に入ってまず思ったことが
「絵うめええええええええ!!!!!!」ということだ。
漫画家を目指し始めて一番の衝撃だった。
信じられないくらい線が細く、空間の奥行きがすごかった。
トーンで表現される立体感も常軌を逸していた。

雑誌で見るのと生の原稿はこうもちがうのかと思った。
俺が今まで頑張って仕上げて悦に浸っていたものはなんだったんだ?

簡単な背景を書いてみて、と言われたので、
持てる力の全てを注ぎ込んで学校の絵を描いたが、
明らかに線の太さがAさんたちのものとは異なり、
幼稚園児が描いた様な酷い絵に仕上がってしまった。

先生は俺の絵を見て失笑した。

そして、誰にでも出来る簡単なベタという黒く塗りつぶすだけの作業が俺の仕事になった。

234: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:56:16.70 ID:qxPumWSP0
週刊だと遅くても1日で19Pの下描きを完成させないといけない
絵に迷ってなんかいられない。続けるだけでもハードすぎるだろ

時間がなくても絵の質を下げられないしな

241: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 18:59:01.59 ID:dXi1bY/U0
仕事が始まると誰も喋らなくなった。
明らかに空気が一変した。

俺も緊張感を持ってベタに集中する。
「×」印の付いた箇所を塗るだけの単純作業だったが、
「はみだしてはいけない」と思うとなかなか時間がかかる。

しばらくして別室から先生がアシ部屋に戻ってくる。

まだ一枚目のベタ作業に苦戦中の俺。

「え?どういうこと?なんでこんなに時間かかってるの?」

俺はドキリとした。

246: わふー ◆PvGtXv3fQg 2010/09/11(土) 19:01:26.15 ID:b2CdthWa0
文才はあると思う

247: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:02:47.51 ID:dXi1bY/U0
「おいC!」と先生は若干声を荒げて言った。
Cさん「はい」
先生「お前ちゃんと新人に時間に対する意識教えたの?こんなペースじゃ仕事にならないよ」

俺の作業が遅いせいでCさんが先生から怒られた。
Cさんは「俺君、もっと手早く…、でも丁寧にね」と俺に言った。
俺は「すみません」と謝った。

この時、既に俺はこの現場の違和感にうすうす気付いていた。

248: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:03:52.03 ID:rkxnfu+W0
怖すぎワロタwwww

249: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:03:58.05 ID:+IgPRP2d0
ざわ・・・ざわ・・・

250: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:05:39.84 ID:CAulSuFt0
最初だから仕方ないだろと言いたいがやっぱり経験者として扱われるのか
厳しいな

252: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:06:33.21 ID:dXi1bY/U0
先生は豪快なルックスだったが、作業に関してはとてつもなく神経質だった。
ベタ一つにしてもはみ出しはもちろん、ヌリムラが許せず、塗り忘れにもかなり厳しかった。
そして一つ俺がミスをするごとにCさんが叱責された。

Cさんが叱責されるたびに現場には緊張が走った。
そんなことが初日のわずか一晩で何度も起きた。

段々と楽しい気分だったのが恐怖へと摩り替わっていった。

262: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:11:42.38 ID:dXi1bY/U0
先生は特にCさんを目の敵にしているような感じだった。
俺は新米だから仕方ない、だがCは違うだろ!みたいなことも何度も言われていた。

他のアシさんもみんな黙っていて特に助け舟を出すことはしなかった。
たまに先生に意見を求められるときには先生の味方になって、
一緒になってCさんを責め立てた。

俺は俺が起爆剤となりCさんが攻め込まれるという状況に居たたまれなくなった。
しかし、どうしたって最初ということもあり時間がかかってしまう。

そして、働き始めてから30時間がたとうかという頃に仕事が終わった。

382: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:11:29.89 ID:kgK3CEq00
>>262
青木雄二 デビュー45歳「ナニワ金融道」
池田邦彦 デビュー43歳「カレチ」
篠原健太 デビュー31歳「スケットダンス」
矢口高雄 デビュー30歳「釣りキチ三平」
三田紀房 デビュー30歳「ドラゴン桜」

足経験の有無は分からんが参考までに(篠原は空知のとこでアシやってたよね)

*「30代の漫画家志望者相談雑談スレ」より転載

266: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:14:23.97 ID:+IgPRP2d0
30時間wwwwwwwwwww

267: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:14:39.87 ID:WLLR2/qh0
おれも今年から漫画家目指し始めたんだが

269: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:16:06.62 ID:QfLO2S9PP
>>267
これがある程度成功した人間の話らしいぜ

271: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:17:11.20 ID:dXi1bY/U0
それからというもの、先生のCさんに対する苛立ちは日を追うごとに酷くなっていった。
何かといえばCさんが怒られていた。
もちろん俺やAさん、Bさんが叱責されることもあるのだが、
とにかくCさんがターゲットになっているという感じだった。

Cさんの顔色は悪く、明らかに憔悴しているようだった。
「これミスってるよ」→「すみません」→「すみませんじゃないよ、なんでミスしたの?」
→「うっかりしていたとしか…」→「うっかりってなんだよ!緊張感持ってやってねえってのかよ!?」
→「そうじゃないです」→「じゃ、なんでミスったんだよ」
というようなやり取りが続き、酷いときには何時間も説教が続くこともあった。

俺もどんどんと心を悪くしていった。

283: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:21:49.63 ID:dXi1bY/U0
Cさんの限界が近いことは誰の目にも明らかだった。
俺の目から見ても「ありえない」と思うようなミスを連発していった。
それに比例して先生の苛立ちも膨れ上がっていった。

「おめーは仕事したくねえのか!!?やめるか!!??」
と怒鳴られることも多くなっていった。
本心ではやめたいだろうが、先生に対する恐怖心が上回り
「いえ、頑張りたいと思ってます」と答えるだけだった。

288: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:23:31.87 ID:+IgPRP2d0
Cは普通に就職すればよかったのにな・・・
学歴あるんだし

290: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:23:47.77 ID:dXi1bY/U0
すまんが急な仕事落ち。
ダラダラなチラ裏に付き合ってくれてありがとう。

中途半端でゴメン。いつかまたノシ

300: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:24:49.77 ID:pQ8Oep0n0
>>290
仕事あってよかったな、頑張れ

292: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:24:16.67 ID:yQl+RtcO0
え?

え?

294: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:24:27.68 ID:QfLO2S9PP
有名大どころか普通の大学出ているだけでも目の敵にする奴っているからな

323: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:38:36.48 ID:VpFbCIP+0
常時5人のアシを抱えてる現場なんて週刊連載を掛け持ちしてるような人だよ
アシさんの月給10万~20万として計算してみれば
漫画でどれくらい稼がないといけないかわかる

327: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 19:57:52.12 ID:F20jKNsh0
結局一枚も絵うpないのによく信じるなお前ら
あ、豚もおだてりゃ木に登るプレイだったのか!?

330: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/11(土) 20:00:32.11 ID:QfLO2S9PP
>>327
釣りかどうかなんてどうでもいいだろ

375: 1 2010/09/12(日) 04:01:25.72 ID:Kd5WzAli0
保守してくれてありがとう。
人も少ない時間だけどダラダラと続きを書いていきます。

376: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:01:46.20 ID:zk5KfcJm0
きたあああああああああああああああああああああああああああ

379: 1 2010/09/12(日) 04:04:41.53 ID:Kd5WzAli0
それからもCさんとT先生との「やめるか!?」「いえ頑張ります」の問答は何度か続いた。

先生の理屈は今思い返しても全て正しいように思えた。
「頑張ると決めたのなら緊張感を持って」
「ミスするのは緊張感が欠けている証拠」
「どうしてもミスしてしまう体質ならばそれを先回りする工夫を」
などなど。

俺自身その理屈には納得できたし、上手くいくような提案にも思えた。

しかしCさんのミスが止むことはなかった。

380: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:06:18.15 ID:r6cLIkPU0
一週間に一話分と言われると多いように感じるが、
数カ月で一冊の単行本と言われると簡単そうに感じる不思議

381: 1 2010/09/12(日) 04:09:19.03 ID:Kd5WzAli0
閉鎖された空間に何十時間も一緒にいると、
なんだかある種異様な空気になってくる。
今振り帰るとT先生の容赦のない叱責はどこか常軌を逸していたことが分かるのだが、
当時はT先生が絶対的な存在として他のアシスタントさんの心までも掌握していた。

そういう映画は何本か観たことがあるけど、まさにあんな感じ。

俺自身も何度かCさんに助け舟を出すチャンスはあったのだけど、
T先生理論を聞いていると、そして他のアシスタントさんがそれに賛同しているのを見ると、
なんだかそっちの方が正しいような気がしてきてきてしまうのだ。

そして、遂にCさんが崩壊する日が来た。

383: 1 2010/09/12(日) 04:13:46.42 ID:Kd5WzAli0
その日のCさんの怒られ方は特に酷かった。
大袈裟でなく10分単位で怒られていたと思う。
多分「また怒られてしまう」というような焦りが次のミスを生んで、
それによりもたらされた叱責が憔悴を生み、
あとはひたすらその負の連鎖が起きるという感じだったのだろう。

もう誰のどんなアドバイスも通じなかった。
そしていつものようにT先生が「お前やめるか!!?」と彼に怒鳴った。

Cさんはしばらく黙った後、静かに「…はい。もう付いていけません」と言った。

俺は思わず涙がこぼれそうになった。

388: 1 2010/09/12(日) 04:18:54.00 ID:Kd5WzAli0
いつもの返答ではなかったことに驚いたのか。
その後はT先生も大人しくなった。

そして急にCさんに対して申し訳なく思ったのか、
優しい態度で「おいおい、ここで投げ出していいのかよ」というような激励の言葉を掛け始めた。

その後T先生はCさんを説得し続けた。
そして、そんな先生の態度にほだされたのか、それとも恐怖からか、
最後にはCさんは「やっぱりもう少し頑張ってみます」と言った。

そしてそれが俺が聴いたCさんの最後の言葉となった。

391: 1 2010/09/12(日) 04:26:47.98 ID:Kd5WzAli0
次の仕事日。
待てど暮らせどCさんは現れず、連絡も一向に付かないという事態が発生した。
Cさんは仕事場ではかなりの仕事量をこなしていたので、
Cさんがいないとなると仕事は大変なことになるのは目に見えていた。

Cさんの担当編集にも連絡が行き、アシスタント全員で何とか連絡を取ろうとしたが、
携帯はつながらなかった。

そんなことしている間にも締め切りは近づいてくるので
俺とアシさんは原稿に着手する。
その回の仕事は地獄だった。
ほんの3時間程度の仮眠で40時間は働いたんじゃないかと思う。
今まで簡単な仕事ばかり回されていた俺にも背景、ケズリなどの仕事が回ってきた。

頭がくらくらして、今まで標的とされていたCさんがいなくなったことで先生も苛々していたように見えた。
俺は一刻も早くここを辞めたいと思った。

394: 1 2010/09/12(日) 04:33:10.78 ID:Kd5WzAli0
Cさんが漫画家を目指すのを辞めると聴いたのはそれからまもなくのことだった。
実はCさんは既にデビューが決まっており、連載案も進行中だったのだが、
編集部へ一本の電話が入ると「もう漫画家は諦めます。今までお世話になりました」と消え入りそうな声で言ってきたらしい。
あれほどの叱責に耐え、努力し続けたCさんの漫画家への夢はこうして終わった。

これは同じ道を歩くもの同士にしか分からないことなのかもしれないけど、
俺はそれを聴いて本当に悲しくなった。
彼はもう漫画家としての命を捨て、新しい道へと歩き始めたのだ。
そして、未だ何も成し得ていない俺は、それでも夢から最後の指を外すことが出来ずに、
こうしてこの環境に身を投じている。

Cさんが消えて、次の標的になったのは俺だった。

395: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:34:18.74 ID:LBE85xJG0
アシ辞めればいいじゃん

397: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:36:28.92 ID:GEzl7B9t0
やめたからここにいるんだろう

398: 1 2010/09/12(日) 04:39:01.08 ID:Kd5WzAli0
Cさんの仕事を引き継ぎ背景などを描くようになった俺だったが、
日に日にT先生の俺に対する風当たりはきつくなっていった。

「この背景どれくらいで描ける?」→「えっと3時間もあれば」
→「3時間?!遅過ぎるだろそれは。もっと高い目標を自分に課せよ」
→「えっと、それじゃ2時間で」→「よし頑張れ」
しかし結局3時間かかる背景。俺の場合4時間になることも多かった。
そして「何でこんなに時間かかってるんだよ!?2時間で出来るって言ったろ?」

…大体こんな流れが皮切りとなった。
そこから先はまるでCさんと同じ道をなぞるように、俺がCさんと同じ目に遭った。

401: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:41:59.78 ID:pQk4Hhy70
T先生ってだれか早くヒントを

402: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:42:52.24 ID:EaFBCmw60
会社じゃないんだから理不尽だと思ったらやめればいいのに
週刊雑誌の担当がついていたなら
相談すればアシ先のツテもあっただろうに

それでもやめなかった理由も語られるんだろうか

405: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:44:14.79 ID:VDTcXNKt0
雇ってくれた先生がブラックだったから他紹介してくれってのは難しいんだろうな

406: 1 2010/09/12(日) 04:44:40.11 ID:Kd5WzAli0
何度も辞めたいと思った。
辞めようとも。

しかしT先生を納得させるだけの説明が思いつかなかった。
「きついので辞めます」ではT先生を通して編集部に悪い印象をもたれてしまう。
俺はその時そこの出版社にも持ち込みをしていたので、
その辺のいざこざで全てがおじゃんになってしまうのは避けたかったのだ。

またゼロから育ててもらった恩もある手前
「あなたのところはきついので他のところに行きます」というようなことは
面と向かって到底言えなかった。

そんな生活がひたすら惰性で一年近く続いた。

407: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:45:26.69 ID:cPJsIGDEP
精神的にくるものがあるだろうが
しかし、確実に>>1の画力は上がってるはず

ベタから背景任されるまでになったわけだし

410: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:47:13.31 ID:OlShyhTV0
>>407
そろそろ力も付いてきたので辞めます、じゃ駄目だったのかな

411: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:47:42.94 ID:GEzl7B9t0
>>410
その時は思いつきもしなかったんだろう

408: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:46:37.26 ID:mVR1zMvF0
1年続いたってだけでもすげぇわ

409: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:46:37.91 ID:f4DGDipc0
漫画家目指すならアシとかしないほうがよさそうだな

415: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:52:36.23 ID:EaFBCmw60
>>409
週刊作家のアシを始めると
自分の持ち込み用の漫画描いてる暇なんてほとんどなくなってしまうからね
月刊作家のアシなら月イチで何日か集中して入るケースが多いので
自分の原稿との折り合いを付けるには良いかも

そんな中こんな状況で何社にも持ち込みをしていた>>1は超人的だと思うよ

412: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:49:57.17 ID:7v2hyKDH0
DV夫から逃れられないのと同じだな
精神的に支配されるとなぜか逃げるという選択肢が消えてしまう

414: 1 2010/09/12(日) 04:52:28.44 ID:Kd5WzAli0
一年経って俺はようやく一つの作品を仕上げた。
一般人に比べたら遥かに安い給料で、
どうにかこうにか日々を凌ぎ、やっとの思いで上げた作品だった。

今までで一番出来のいい作品だったが、もう俺にはこれが最後の砦だった。
これを上手く連載につなげることが出来たら、穏やかにT先生のもとを離れることが出来るし、
自分も独り立ちできる。

T先生のいる出版社とは今まで自分が書いてきてボツを食らった作品を見せたりして
打ち合わせをしてきたけど、T先生とは正直縁を切りたかったので、
別の、更にグレードを落とした出版社に持っていくことにした。

419: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:54:54.20 ID:VDTcXNKt0
岸本斉史とか安西信行って単行本でアシにページあげてるよな
あの中から連載までいった人どれくらいいるんだろ
プロアシ集団だったとしたら少なくて当たり前だけど

421: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:57:38.04 ID:jVFioMvB0
でもここまで頑張っても漫画家にはなれないんだろ…?
連載してる漫画家ってどんだけタフなんだよ…

422: 1 2010/09/12(日) 04:59:55.92 ID:Kd5WzAli0
今まで培ってきた技術を全て詰め込んだ作品だった。
トーンも背景も入れまくり、素人に見せたら「すげええええ」と言わせる自信は今でもある。

作品のレベルは上がっている反面出版社のレベルは落としたんだ。
これはもう絶対に上手くいくだろう。
中学生が小学生のテストに挑むようなものだと、尊大なことを思った。
その確信があった。自信も。

出版社の編集に原稿を手渡し、
「すごい」と驚く顔になる瞬間を見るため、俺は下唇をかみながら編集の顔を凝視した。

しかし、編集の表情は特に変わらず、代わりに俺にこう言った。

「君、いくつ?」

423: 1 2010/09/12(日) 05:03:34.78 ID:Kd5WzAli0
「え?」

唐突な質問にどきりとした。
俺は既にその時26歳になっていた。

漫画家志望がサバを読むというのはよくある話だったが、
今後この人ときちんとした人間関係を築くつもりならウソはいけない。
俺は正直に「26歳です」と答えた。

「おほぉ~w結構いってるねw」

心臓が冷たくなった。

424: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:03:46.75 ID:8d0GKovP0
絶望の予感…

425: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:05:24.16 ID:CRJw6rwf0
26でも30でも受賞してるやつはしてるから
色んな所に持ち込めばよかったんじゃないかと

426: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:06:11.87 ID:EaFBCmw60
>>1が時々見せる
出版社を格付けして見る姿勢は正直ちょっといただけない

427: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:06:39.51 ID:OlShyhTV0
同じ原稿何社も持っていったりできるもんなのか

431: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:07:55.67 ID:CRJw6rwf0
>>427
俺の友達は週ジャンに持ち込んで駄目だったけど
週マガに持ち込んだら担当付いたよ、俺もそんなだ

ある雑誌の賞では駄目だったから別の賞に送ったら
受賞できたし、原稿は一つの会社のものじゃないよ

434: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:10:54.01 ID:KXh0ABSfP
>>427
よくある勘違いだけど原稿はどこまでいっても作者のもんであって
掲載されたやつだって大雑把に言えば貸してるだけだぞ?

432: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:10:42.08 ID:m1Qrfmc+0
担当との相性もあるだろうしあっちこっちに持ち込んだほうが良さそうだよな
よくわからん漫画が急に人気になったりもするし

433: 1 2010/09/12(日) 05:10:50.75 ID:Kd5WzAli0
漫画家に年齢なんて関係ない…というのは一応事実だが、
暗黙のボーダーラインがあるのもまた事実だ。

ジャンルによってそのラインは異なるが少年漫画なら大体25歳だと言われている。
25歳までにデビュー出来なければ、その先も厳しいだろう…というわけだ。
これは割と一般的に知られていることだし、俺も知っていた。

しかし、ここにくる時にはそのことを全く考えてはいなかった。
なぜなら俺は一応25歳までに「佳作」を獲ることには成功していたわけだし、
そういった意味ではレールには乗っていたからだ。
しかし、今までの出版社との関わりを全て絶ち、ゼロからのスタート、
「初めて現れる男」となった俺は、新人としては年齢を重ね過ぎていたのだ。

編集は「よく描けているけども…」と渋い顔をして俺の原稿をパラパラとめくり続けた

442: 1 2010/09/12(日) 05:20:10.97 ID:Kd5WzAli0
編集は終始暗く、
「特に言うことがない」というのをごまかすために、
何かを喋っている…という感じだった。
その言葉の中に好意的なものはなかった。

「アシスタントはしてるの?」と訊かれたので
「T先生ってご存知ですか?」と答えたら。
「ああ~~!もちろん知ってるよ!」と上機嫌になった。
彼が好意的になった唯一の瞬間だった。
その時ほどT先生と自分との差を実感したときはなかった。

こともあろうに俺は「悔しいな」とは思わず「凄いな、T先生は」と思ってしまったのだ。

そして編集が別れ際に言った台詞。
「これどうする?賞に出す?
出したとしても…まぁ奨励賞ってとこだと思うけど。
次の作品描くなら打ち合わせには応じますよ」

443: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:21:58.60 ID:CRJw6rwf0
この編集の反応はそれなりにデカい週刊雑誌じゃあ…
言うほどあまりレベル落としてないような気がする

455: 1 2010/09/12(日) 05:28:14.32 ID:Kd5WzAli0
その言葉にダメを押された俺は、
「いえ…、いいです。もうちょっと考えて見ます」
と小さく笑って自分の原稿を手元に手繰り寄せた。

今日、またイチからやり直すつもりではいたけど、
多分連載用ネームを切る…というところまでは一気にいくと思ってた。
原稿のレベル自体は上がっているのだから自惚れではない筈だった。
それなのに俺に突きつけられた現実は「再び奨励賞からの出直し」。

あのテンションの低い編集と打ち合わせを重ね、賞に出し、
何とか佳作か入選を獲り、そして連載用ネームを切り、
担当編集を通して、今度は編集長にokをもらって…

…って、一体どれだけの時間がかかるっていうんだ?

それまでずっと俺はあの現場でアシスタントを続け、この生活なのか?

そして、帰りの電車、窓に映る自分の顔を見つめながらこう思った。

「俺…、才能ねーんだ」

456: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:29:17.39 ID:zk5KfcJm0
どうしてこうなった

457: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:29:25.72 ID:VfmG0zpl0
ふむ

459: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:30:11.69 ID:VDTcXNKt0
ああ……

480: 1 2010/09/12(日) 05:35:46.74 ID:Kd5WzAli0
自分の降りるべき駅に着いたが、そのまま終点まで行ったのを覚えている。
そして何でもいいから気分転換に遊ぼうと思ったが、
全く俺には自分を持ち上げられるだけの発想が光らなかった。
金もなかった。

町の花壇の柵に腰を掛けて、携帯を無意味にいじった。

まだ返信していなかったメールに気付く。
友人からのメール。
「今度晴れて結婚することになった。ぜひ式に来てください」
という内容のもの。

目に涙が浮かんだ。
俺は行けない。

夢に敗れても友達は友達。
でも「今なにやってるの?」「漫画は順調?早く読ませてよ」
たったこれだけの質問が怖くて、俺は友人の晴れ舞台を見守ることを拒絶してしまった。

家に帰ったのは朝方だった。

482: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:36:13.29 ID:BDmGjLuX0
これを漫画にしろよ
バクマン読んで夢見てる奴にこういう現実もあると突きつけてやれよw

486: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:39:13.86 ID:eZDvpMdP0
>>482
その通りだな。
よければ、漫画を見せてくれ。
いい提案ができる気がする

詳しくはメル欄まで

490: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:40:56.21 ID:EaFBCmw60
>>482
夢を見たくて漫画読んでる人たちが
夢のない漫画を読むわけがないのだなこれが

どうしてもニッチになる

499: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:42:50.24 ID:m1Qrfmc+0
>>490
それはねーよ
それじゃウシジマくんがヒットする理由にならない

508: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:46:57.88 ID:EaFBCmw60
>>499
ウシジマくん面白いよね
しかしバクマンに夢を見ているような層が読むか?

517: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:50:50.15 ID:m1Qrfmc+0
>>508
ネットで「これが漫画の現実だッ!」とか煽れば余裕で釣れる

504: 1 2010/09/12(日) 05:45:51.98 ID:Kd5WzAli0
ひとつの出版社でダメでも別の出版社に持ち込め。
…というのはよく言われていること。
今手元にある原稿も別のところに持ち込めば光がさすかもしれない。
現に回る出版社の候補は色々あった。
3つくらいは回ってみようと思っていたのだ。

しかしあの編集のあの態度に打ちのめされた俺は、急に自分の原稿がつまらないもののように思えてきた。
一年間も掛けて仕上げた力作。
この一年、この作品が俺の全てだった。
しかし、この作品は誰の目にも留まらず、
誰からも読まれない。誰も必要としていない作品だった。
この作品を呼んだのはこの世界でたったの二人。俺と編集さん。
そのためだけの作品となってしまった。

持ち込みする気力を失ってしまった俺は、処分するつもりで別の雑誌にその原稿を投稿したが、
授賞する確立は低かったし、授賞したとしてもその道のりを考えると辟易とした。

つまり、これが俺の最後の作品。
夢は破れた。

505: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:46:25.50 ID:qo3EJt010
でも実際漫画読ませて貰ったら
絵だけ小奇麗で何も目を引かないどこにでもあるような内容の漫画だったりして
感想求められても
「へー上手いねー」
しか言えなかったりするから
やっぱり才能がないんだろうよ

506: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:46:43.96 ID:9o1dgYmI0
持ち込み先がチャンピオンレッドいちごならよかったのにね

509: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:47:45.99 ID:KXh0ABSfP
>>506
あっこはエロでキャリアあるやつばっかだからある意味レベルめちゃめちゃ高いぞ

527: 1 2010/09/12(日) 05:55:47.06 ID:Kd5WzAli0
翌週にはアシスタントの仕事があった。
もはや俺の獲る道は一つだった。
アシスタントを辞める。漫画業界からも身を引く。
26歳職歴なしだけど、あの現場に一年耐えた俺ならどんなブラックでもやっていけるだろう。
今はただ、本当にただ、「俺は今~~やってるよ!」と胸を張って言える何かが欲しかった。

今までの自信満々の頃の俺を知ってる知人にはしばらく会いたくないけど、
いつか自分に自信が持てるようになったら連絡を取ろう。
一発逆転なんて夢は無くても。
慎ましやかな人生で良いから生きていこう。
まずはハローワークにでも登録しようか。

…そう思うと、割と清清しい気分になれた。

そして翌週の仕事日。
アシスタントさん全員とT先生の前で「仕事をやめます」ときっぱりと伝えた。

535: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 06:00:14.13 ID:8TB4jxXA0
でもこの>>1絵は相当がんばってるけど
面白い話を思いつくための努力の描写がまったくないな

541: 1 2010/09/12(日) 06:03:03.41 ID:Kd5WzAli0
虚を突かれたという感じでT先生は「え?どうして?」と言った。
「見切りを付けました。漫画家は諦めて就職します」と答えたら、
それ以上は何も言わなかった。
周囲のアシスタントさんも何も言わなかった。
俺は依然最も叱責される回数が多かったし、
他のアシスタントさんには単なる逃げ口上のように響いたのかもしれないけど、
その言葉にウソはなかったから凛として発言できたんだと思う。

そして俺は完全なニートになった。

気が抜けて一ヶ月くらいは何となくハロワの募集ページを見るだけの日々を送っていた。

そんな時に再び、一本の電話が鳴り響く。

543: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 06:04:24.43 ID:m1Qrfmc+0
まだ引っ張るのか!
もう六時だぞ!

552: 1 2010/09/12(日) 06:08:49.67 ID:Kd5WzAli0
「おめでとうございます。当社に応募いただきましたあなたの作品が入選に選ばれました」

なんですと!!?

それは最後のあの原稿を投稿した出版社からだった。
26歳職歴なし…これは本当に社会にギリギリなんとかまだ頑張ればカムバックできるかもしれない状態だ。
今、引き返せばまだ…、でも…、でも…。

希望は時として絶望以上に残酷だったりする。

次章 そして破滅へ編

553: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 06:09:32.19 ID:zk5KfcJm0
ここから破滅とな!!?

564: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 06:10:42.89 ID:m1Qrfmc+0
終わりどころを逃したな!

565: 1 2010/09/12(日) 06:11:25.13 ID:Kd5WzAli0
引っ張り過ぎてごめんなさい。
自分でもこんなに書くつもりが無かったもので…。

付き合ってくれた人はありがとう。
次章!とか書いたけど続きは書くか分かりません。
でもここまででも随分破滅的な人生だと思うので、
それで何とか納得してください。

ありがとうございました。おやすみノシ

636: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 06:57:15.97 ID:EaFBCmw60
ここまでの>>1の話を4コマにまとめてみた
no title

638: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 06:58:04.28 ID:zk5KfcJm0
>>636
だいたい合ってるwwwwwww

641: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 06:59:43.79 ID:tZYoZMTy0
>>636
4コマで説明できることをここまでダラダラと書いた>>1って……
という気持ちになった

643: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 07:01:53.71 ID:CccOgKUq0
>>636
なるほど

649: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 07:05:19.85 ID:09GnaJu20
>>636みたいな人が漫画家に向いてるんだろうな
>>1は冒頭で登校シーン延々描いちゃうタイプ

671: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 07:29:36.58 ID:93rh+tQ+O
>>636はここまでを読んできたからわかるんだと思うんだ

639: ハヤシライス斉藤 ◆RYUQ76B/4s 2010/09/12(日) 06:59:21.22 ID:c5RNHnWe0
糞ドマイナーな雑誌以外はあらかた漫画読んでて
自分の理念や作風にあった出版社ならここかな~とか勝手ににやにやしながら妄想して
月刊3pペースで漫画描いてて、絵もうまい自信あるのに
何故か「あいかわらず微妙な絵だな」といわれて
「お前には俺の世界観が理解できなかったか^^;」って強がってばかりの糞虫ですけど
尊敬する漫画家さんは、石黒正数、安永こういちろう、まがみぐりこ、高橋留美子先生です本当にすみません

645: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 07:02:15.27 ID:lzmabM5g0
4コマで説明できることを長々とここまで読ませたんだから
連載作家としての才能はあるかもな

720: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 08:54:32.02 ID:vcFC1miY0
まあ俺も昔は漫画家目指してて、諦めたんだけど。
>>1みたいなドラマはなくてな。
簡単に言うと、
専門学校

アシ

雑誌編集

デザイナー←イマココ

ってな感じです。
ネクタイを締める仕事に縁が無いなとは改めて思います。

722: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 08:58:02.94 ID:wkNpDZFB0
自分は顔だけ絵師だからな
構図や全体が描ける人は後光が差してる

774: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 11:59:18.52 ID:CRJw6rwf0
プロでも早い方だけど、絵の密度的にどうか分かんないから
内容によっちゃあ普通かも知れない、でもいいペースだと思う

仕上げ含めて?

822: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 15:24:02.13 ID:PEJ0UuMq0
>>1の話聞いてると漫画家になるのって難しそうだけど
>>1が才能ないから苦労してるだけで
才能のある人は結構すんなりプロになれるんじゃないの?

823: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 15:25:58.64 ID:CRJw6rwf0
まずトーン削りなんて効果使ってないしな冨樫

>>822
偉大な漫画家達の苦労話を色々と
調べてみたらいいんじゃないかな

830: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 16:06:00.31 ID:VDTcXNKt0
>>822
フリーターがアシ・専門学生・美大生・同人作家・ニートに追いつこうにも限界ありそう
漫画に時間を費やせる人なら、連載のチャンスか引き返すチャンスのどちらかは>>1より多いだろうな

889: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 01:32:50.95 ID:8r/pNsLO0
まだなのか

890: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 01:34:41.59 ID:8/xwgUpC0
早く

934: 1 2010/09/13(月) 10:37:53.83 ID:JrcmVwWj0
保守してくれてありがとう。
1~2時間後くらいに続き書きます。

936: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 10:44:14.23 ID:zK9HNjmy0
きたああああ、まってたよおおおお

937: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 11:21:07.03 ID:8ye29wMB0
うわああああああよかった待ってて

938: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 11:28:15.01 ID:LiIHy7E00
来たか、寝ようとしてたのに

944: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 12:40:06.70 ID:YDn9HGkj0
どんどん行こうか

951: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 12:54:32.23 ID:/F4WeF1Z0
新人編集者は地雷だってバクマン。先生が言ってた

959: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 13:12:11.44 ID:E/oOQ2tBP
フィクションかどうかハッキリしてほしいな
まあ誌面掲載の読みきり無しで連載のネームから入るなんて無いだろうから
フィクションなんだろうけど

963: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 13:17:37.43 ID:/vc4I3r80
>>959
それは一番最後に言ってくれればいい

970: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 13:28:45.52 ID:8ye29wMB0
>>969
おま・・まさか・・・

972: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 13:29:38.54 ID:P7uq1eip0
実は先生と出来てたパターン

973: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 13:29:42.38 ID:XWXdvLFD0
死亡フラグか

983: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 13:52:58.96 ID:25/dLGVp0
あぁ・・・やっぱりボツになったのか・・・

つか連載しても他のアシしてる漫画家っているんだな。

984: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 13:54:52.50 ID:Op/5MJ990
亡くなってしまったが、史上最強のアシと言われた先生もいてだな…

986: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 13:57:29.65 ID:TE+MY3fT0
さあ、盛り上がってまいりました・・・

引用元:
https://yuzuru.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1284190606/


管理人:Po( ੭•͈ω•͈)੭oh
ここまでが最初のスレ↑


ここから続き↓

13: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 14:16:24.48 ID:OnjKVZso
前スレ読んだけど、なんか>>1は独りよがりで気持ち悪い感じだった(ていうかああいう自分語りってたいてい同じような語り方で気持ち悪い)
読者のことをまるで考えず好き勝手なこと描く漫画家みたい
それで面白ければいいんだけどな

15: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 14:17:16.23 ID:zzIIcbc0
一方Eさんのうほうは絶好調だった。
恋愛も上手くいき、仕事も上手く行き、彼女は本当にキラキラしていた。

「今度読み切りの掲載が決まりました~~!!」
というような報告を皆の前でしていたこともあった。

S先生やFさんは「すごいね」と心から祝福を送っていた。
俺も醜い本心を悟られぬよう全開で笑顔を作って賛辞を述べた。
Eさんはそれがまた嬉しくて、大船に乗ったかのような景気のいい発言を並べていった。

「彼女」としては当然なのかもしれないけど、Eさんはやはり俺に一番褒めてもらいたいようだった。
俺もそれに応じていたが、段々とそういう関係が心苦しくなっていった。

16: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 14:18:25.44 ID:q55v1JYo
きたか

17: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 14:18:43.44 ID:g7Gg.RAo
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

22: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 14:21:50.49 ID:zzIIcbc0
自分にも経験のあることなのでよく分かるのだけど、
漫画家志望の若い奴…特にある程度の結果を収めている奴は本当に威勢がいい。

自分のことを天才だと本気で信じていて、
自分がいつか漫画界に名を残すような漫画を描くと本気で信じている。

俺がEさんとの間に決定的な溝を感じるときは、大体決まっていた。

それはEさんが自分のことを「漫画家」として発言するときだ。

23: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 14:24:13.94 ID:Z9hOjs.0
もうコレ漫画にしろよ

24: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 14:25:05.28 ID:zzIIcbc0
「漫画家」の定義は定かではない。
ライセンスがあるわけではないし、同人作家でも漫画家を名乗る者は結構いる。
ある者は読み切りが一度掲載されればそれでもう「漫画家」だと言っていた。

そしてEさんはそういう定義を自分の中で定めていたらしい。

そして、俺は、

「漫画家」ではなかった。

25: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 14:25:12.56 ID:zTiwh8so
>>23
そういう夢のような展開は実際ほとんどねーよ。

27: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 14:30:50.81 ID:zzIIcbc0
編集部から依頼される小さな仕事は何度かこなしていた。
読み切りというには短過ぎる漫画も載せたことはあった。
だが、「漫画家」というにはあまりに小さな仕事だった。

そして、Eさんは、確かに「漫画家」を名乗ってもいいだけの経歴だった。

Eさんの「やっぱり漫画家になるとそれまでとは違う『責任』みたいなものが
大きくのしかかってくる感じがするなぁ」というような他意のない発言にも俺は

「そうなんだ」と相槌を打つことしか出来なかった。

「俺にはまだ分からないや。早くそういう感覚が理解できる位置まで行きたいよww」
とはどうしても言えなかった。どうしても。

28: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 14:34:50.86 ID:dZwJhFAo
語り終えたら、何かしら描いた物をうpするのを確約してほしいなあ

33: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 14:38:51.08 ID:zzIIcbc0
一度、Eさんに誘われて「漫画家志望者同士の飲み会」なるものに参加した。

そこに来た連中は皆、俺の持ち込む雑誌よりも遥かに有名な雑誌で、
デビュー、短期集中連載、連載などを獲得している新人だった。

そして、殆ど全員が、俺よりも若かった。

どいつもこいつもキラキラしていて、俺よりも数段上の高みにいて、
年上なのに俺は萎縮してしまった。

「俺さんはどこに持ち込んでいるんですか?」→「あ、××です」
→「へぇそうなんですか。もう掲載とかはされてるんですか」
→「あ、いえ、まだ…ちょっと上手くいかなくて」
→「…あ~~…、実際大変ですもんね。ネーム通すのって。実は俺もこないだぼつあdjヴぁvにdh」

というような流れが大体だった。
せっかく出来た彼女の前で、格好付けることも出来ずに背中を丸くしているだけの自分が本当に情けなかった。

そして第二回目の連載用ネームが完成した。

46: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 14:44:59.74 ID:zzIIcbc0
結果はまたしてもボツだった。
これさえ上手くいけばまだ何とか自分を保てるというギリギリのラインだった。
しかし結果はボツだった。

実は新人漫画家にとって担当編集というのはかなり重要で、
担当編集の力・権力が大きくその後の道を左右したりするのだ。
俺の担当編集は優しかったが、新人だった。
そういった権力はほぼ無いに等しかったと思う。
かといってそれを敗因だと決め付けてしまうのは愚かだとも思う。
どうあれ、俺の作品は、ボツになった。

第一回の連載用ネームがボツになってから、気が付けば8ヶ月が経っていた。

55: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 14:54:09.26 ID:zzIIcbc0
これで俺の紐はぷつりと切れた。
でも担当編集、S先生、Fさん。そしてEさん。
俺を取り巻く環境・人間は依然として優しく、暖かかった。

気が付けば、それが俺の全てだった。

既に他に友人はいなかった。
俺が切り捨ててしまったんだ。
高校のとき、ミュージシャンを目指すと言っていた彼も、今は普通に就職してしまった。

俺だけが、一人取り残されてしまった。

ずっとせき立てられていたあの「早くしなくちゃ」という感情は、
おそらく「早く引き返さなくちゃ」ということだったんだと思う。
でももう遅い。

気が付けば俺は、もうすぐ28歳だった。

何もなしていない。職歴も資格も無い。28歳。

その日から約1週間後、俺は初めて精神科に行った。

61: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 15:00:02.96 ID:c9L4CGYo
あぁ・・・これ読んでたら
なんか>>1と同じような状況になりかけてる俺涙目・・・。

63: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 15:02:04.44 ID:zzIIcbc0
精神科の先生は優しかったが、当たり前だけど俺に連載を与えてくれるわけではなかった。
だから先生の言うことは何一つ根本的な解決になっていないように思えた。
先生から処方された薬も助けになっているのかどうか良く分からなかった。

でも睡眠薬はとても有難かった。

これのお陰で少なくとも俺は夜眠ることが出来た。
そして、既にこれが無ければ眠れない体にもなっていた。

今思うとこんな状態になったのならすぐにでもアシスタントをやめるべきだったのかもしれない。
でも、アシスタントを辞めてしまえば俺は本当に一人。

外界と一切のリンクがないニート。

Eさんとも別れることになってしまう。
いや、その説明をまずEさんにしなくては…。

俺を取り巻くごくわずかな周囲の人は優しかった。
そのお陰で俺は半ば自動的に人間らしい生活を送ることが出来ていた。

でももう漫画は描けないでいた。

67: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 15:09:43.46 ID:zzIIcbc0
遂に28歳を迎えてしまった俺…。

そんな中Eさんは遂に連載を獲得した。
俺が恐れていた日だったが、もうこの日が来るのは誰の目にも明らかだった。

おめでとうと周囲から称えられ、笑顔で応じるEさんは可愛かった。

就職しよう…と思った。
やってやれないことは無いはずだ。
就職して、そして、Eさんと結婚でもしよう。

漫画のことは完全に忘れたいけれど、これだけ世の中を沸かしている漫画を一切目にも耳にも入れずに生きていくなんて不可能だ。
ならばいっそ、俺の夢はEさんに託して…。

そんな風に思って、再びハローワークのHPを覗く日々が始まった。

そして遂に、決定的に俺が崩壊する日が来た。

69: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 15:12:22.23 ID:c9L4CGYo
あー・・・なんとなく・・・
先の展開が読めるぞぉ・・・?
嘘だよな・・・?
それだけはないよなぁ・・・。

75: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 15:17:29.98 ID:zzIIcbc0
その日はいつも通り、アシスタントに入っていたのだが睡眠が切れてしまっていた。
睡眠薬は処方される数が制限されているのでこういうことはしばしば起きた。

冬の寒い日で暖房のタイマーも切れ、空気が再び寒くなるまで俺は眠れずにいた。

3時間は眠れなかったと思う。
空腹を感じたので俺は近所の牛丼屋に行くことにした。
すぐ隣で眠るS先生を起こさないように、慎重にドアを閉めた。
こういうことは何度かしていた。

雪の降る深夜、駅前まで歩き、牛丼屋に入店する俺。
帰りにコンビニにも寄り、仕事場に帰ったのは1時間後くらいだったと思う。

EさんやS先生を起こさないようにそっと扉を開けた。

78: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 15:19:44.92 ID:NbQ8ik60
おいまさか…

79: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 15:20:10.58 ID:Z9hOjs.0
女は怖い生き物やで~

80: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 15:21:12.77 ID:zzIIcbc0
「?」

帰ってきた俺は一瞬首を傾げた。
俺が出て行くときにあったS先生の姿がなかったのだ。

…?

こんな夜中に外へ出て行ったのか?

先生も牛丼を…?いや、コンビニかな…?

息も凍る真夜中。
ふと柱の梁がミシッという音を立てる。

「…?」

83: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 15:22:27.43 ID:Z9hOjs.0
koeeeeeeeeeeeeee!!!!!!!!1wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

89: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 15:24:19.50 ID:zzIIcbc0
微かな音はふすま一枚挟んだEさんの寝ている部屋から聞こえてきた。

…え?

…?

俺の心拍数は急速に上がっていった。

うそでしょ?まさかそんなことないでしょ?

布団がこすれるような、本当にごくわずかな音だけが聞こえる。

声は聞こえない。

俺はしばらくその場に立ち尽くした。

90: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 15:25:37.56 ID:XALleWMo
何か急展開だな

91: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 15:25:46.58 ID:Z9hOjs.0
その立ちっぷりは見事であり、後の弁慶であった・・・

93: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 15:26:29.31 ID:SY0O9Vwo
心が痛い……

94: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 15:27:08.80 ID:zzIIcbc0
確信が得たい…

と思った。

このふすまを開けてしまいさえすればハッキリする。

だが、

俺の体は信じられないくらい震えて、遂に手は動かなかった。

そんな俺が次にとった行動は、なんと普通に元の自分の布団に潜り込むことだった。

「なんで…?え…?」

97: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 15:27:29.81 ID:zTiwh8so
S先生、40代ってところがまたいい。

同年代だったら痛いだけだった。

98: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 15:30:01.11 ID:zzIIcbc0
今止めれば間に合うかもしれない

…と思った。

でも俺の体は動かなかった。
それどころかこんな状況にもなって、証拠・確信を掴もうと耳だけは澄ましていた。

音が止んだかと思うと、また布団のこすれるような音がする。

その繰り返し。

なんで…?

何故? と思った。

103: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 15:32:31.31 ID:zzIIcbc0
何故俺はこんな状況にもなってこんな卑屈な態度なんだ?

でも答えは最初に違和感を覚えたときからずっと俺の頭の中で響いていた。

S先生は

漫画家だった。

そして、Eさんも漫画家だった。

106: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 15:34:20.75 ID:hO9JYQSO

キツイ…

108: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 15:35:21.12 ID:XALleWMo
漫画家同士の付き合いは長続きしないってジンクスがね
だからセーラームーンの作者は結婚を機に引退した訳でね

109: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 15:35:33.21 ID:zzIIcbc0
本当に、あの場でこんなことを思うなんて本当に不思議なんだけど、
俺はその二人を心の中で「お似合いだな」と思っていた。

二人は全てが上手く行っていた。

二人の人生は輝いていた。

二人は俺の夢を実現させていた。

二人の職業は漫画家だった。

そして、俺は、ただの漫画家アシスタントだった。

115: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 15:38:10.96 ID:zzIIcbc0
結局俺はそのまま寝たふりをし、次の日の仕事もきちんとやりおおせてから帰宅した。

そして、もう誰とも連絡を取ることはなくなった。

大騒ぎになると両親に迷惑を掛けるから、短い事務的なメールだけをEさんとSさん。
そして担当編集に送った。

こうして俺の漫画家への夢は幕を閉じた。

130: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 15:45:34.60 ID:uH6MRV6o
え?終わり?
後日談はないの?

131: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 15:47:07.14 ID:zzIIcbc0
後日談。

何もかもを失った俺は立ち直るのに半年近くかかった。
でも半年で結構いい状態まで持ち直したと思う。

就職活動はそれからしてみたものの、やはりなかなか上手くいかず。
いちから何かを構築するということに、精神がもうめげてしまっているのかも。

ただ、運のいいことに(これは俺が立ち直るきっかけをくれた人でもあるんだけど)
漫画家志望友達が簡単なイラストの仕事を紹介してくれて、
その仕事が今に続いている。
食えるにはまだ程遠いけど、今は前よりも少し人前に出る自信が付いた。

近く始まると言っていたEさんの連載は未だに誌面を飾っていない。

長々と付き合ってくれてありがとうございました。

136: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 15:50:11.26 ID:iEJ.Mqco
Eさんが一服盛られて寝てる間にいたずらされてたって可能性は?

149: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 15:56:26.86 ID:zzIIcbc0
補足。

本当に思いつくまま書きはじめたせいでレスを返せずごめんなさい。
これでも「待たせちゃいけない」と必死に打っていました。

完全な特定を防ぐために若干のフィクションを織り交ぜてます。
うpは今も絵の仕事をしているためできません。ごめんなさい。
(そもそもうpどうやるのか分かってない。出来たとしても微妙な反応しか返ってこないと思うww)
Eさんとは完全に連絡を絶ちました。多分バレたことに二人とも気付いてます。

151: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 15:58:28.80 ID:1avLAgY0
そうか、完全フィクションじゃないのか
>>1の今後のご活躍をお祈りします

155: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 16:01:50.56 ID:zzIIcbc0
あとブラックの人ではないですww
僕も読みましたがあんなに文章上手くない。
でもそう思われたことは光栄です。
あと面白いといってくれた人もありがとう。(…というところなのかどうか分からないけど)

フィクションかどうか気になる人はフィクションだと思ってください。

にちゃんねるでこんなに文章書いたのは初めてです。
それこそブラックの人の気分を少しだけでも味わえて楽しかった。

…こんなとこかな?
ありがとうございました!
いつかまたどこかのスレでノシ

157: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/13(月) 16:02:40.35 ID:XbJzv0Yo
1はバクマン読んだんだっけ?
元漫画家志望として見るとどう?

212: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2010/09/14(火) 00:01:22.95 ID:KC8v1gAO
30代でデビューしてる漫画家を見て「年齢なんて関係ない面白い漫画が描ければいい」と勘違いしてる人多いけど
30代デビューしてる人たちも10年とか長い下積みを経てやっと芽がでたわけでいきなりヒョイと漫画家になったわけじゃない

だから漫画家を目指し始めるのは20代前半がギリギリ
25過ぎるとどの雑誌でもまともに相手されない
まともに相手してるふりをして適当にあしらうことはあるけど

引用元:


管理人:Po( ੭•͈ω•͈)੭oh
夢に向かって頑張るというのは想像以上にしんどいし
モチベーションだけではどうしようもない現実もあるでしょう
決して成功者ではないけれど、挑戦者としてのID:zzIIcbc0はとてもかっこいいと思います

最近のコメント

    -名作, 雑談・雑記

    Copyright© プププーバ , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.